大串哲人(Ookushi Akihito)
サンタ・カンパニー合同会社 代表 野菜コーディネーター
歯科医の開業支援コンサルタントからキャリアをスタート。出店ノウハウを本格的に学ぶため、大手流通業店舗開発の出店調査へキャリアチェンジ。そこで得た経験を活かし、再び医科・歯科クリニックの開業支援コンサルタント、高齢化社会を見据えて大手訪問介護会社の介護施設開発のマーケティングに携わる。その後、医療法人、社会福祉法人で新規出店、法人・施設経営や人事、地域密着事業など多岐に渡る事業に寄与。
2019年に独立、2020年より東京産に絞った農産物のECサイト「東京いちば」の運営、都内高齢者福祉施設の敷地内で地域と人をつなぐマルシェ(東京産農産物の直売)の企画運営、認知症グループホームへの東京野菜定期配送、そして都内生産地での収穫体験の企画を包括的に展開。他に、様々なご縁をいただき、都内を中心に回収された街路樹・公園樹の伐採木を堆肥(樹木堆肥)、薪にリユースし、販売するエシカル事業。農地売買・貸借による事業展開に伴うパートナー事業。ホームページ作成を中心としたWebマーケティング事業もさせていただいています。
地域と人をつなぐ仕事
団塊ジュニア世代。年間出生数が80万人を切るかと言われている今、私は年間出生数200万人を超えていた団塊ジュニア世代です。常に人と人とがひしめく世界で過ごしてきました。高校、大学は、競争率激化。就職活動時期はバブル崩壊、就職氷河期世代とも呼ばれるようになりました。世間は、ソフトバンク、パソナ、カルチャー・コンビニエンス・クラブ(TUTAYA)が台頭し、ヤフー、楽天が創業するベンチャーブームでした。
意思決定者との仕事。大学時代マーケティングを学び、意思決定(購買決定)者と直接関わり、ダイナミックでスピーディーな仕事がしたいと模索していました。たまたま、街を眺めていると歯科医院の看板が至る所にあることに気づき、調べてみると開業率が約70%、数はコンビニより多かったのです。医院=院長=意思決定者。開業支援コンサルタントのキャリアがスタートし、その後も同様のキャリアを重ねていきました。
自分も意思決定者になりたい。多くの意思決定者と仕事をさせていただき、寝る間を惜しんで働きました。超々多忙でも充実した日々を過ごす中、いつかは自分も意思決定者になりたいと思い始めました。
東京のある農家さんとの出会い。大学の友人からの相談で代々続く跡取り農家さんを紹介されました。相談内容は、父親の代まで築いた販売チャネルだけでは今後不安を感じ、他の販売先を紹介して欲しいということでした。農業という初めての業界。現状や課題など多くのことを聞かせていただきました。都内のほかの農家さんへも飛び込みで約100軒ほど話を聞かせてもらいました。良いものは作られている。問題意識も高い。少量多品種生産者が大半。マーケットが農地周辺。農家が減少の一途。ワンオペのため現状で手一杯。農業収入と不動産収入で成り立っている。その様な農家さんがほとんどでした。
キーワードは、都産都消。人口1400万人、700万世帯の東京都。その70%が区部。その区部から1~2時間の距離にある市部は農地が広がっています。農地が少ない区部は、近い距離に農地がありながら、採れたての新鮮野菜やもぎたての果物を食べる機会が少ない。農地周辺が狭域マーケットであれば、東京都は中域マーケットです。であれば、東京産野菜を地元東京都民に提供されることが自然と考え、事業名を「東京いちば」とつけ、東京で地域に根差した事業を軸に展開することにしました。
グローカル精神。グローカルとは、グローバル(Global)と、ローカル(Local)を組み合わせた造語。具体的には、地球規模で視野を持ちながら、地域の視点で問題を捉え、解決していこうとする考え方です。じつは、グローカルは前職のビジョンでした。東京いちばを掲げる際、ローカルである東京産野菜を地域へ伝える一方、グローバルであるSDGs・フードロス・フードマイレージといった世界的課題も念頭に置いて活動するべきだと考えました。この考え方は、前職で学ばせてもらった地域密着事業の考え方がとても大きく影響しています。改めて、元上司や同僚に感謝しています。
様々なご縁でのパラレルキャリア。パラレルキャリアとは、経営学者として有名なP.F.ドラッカーの著書『明日を支配するもの』で提唱されているこれからの社会での生き方のひとつで、現在の仕事以外の仕事を持つことや、非営利活動に参加することを指しています。地域と地域、地域と人をつなぐ「東京いちば」の事業だけでなく、様々な地域と人をつなぐ仕事を行っています。その一つとして「東京都福祉サービス第三者評価の評価者」としての活動です。一度きりの自分の人生、可能な限り地域と人をつなぐ様々な仕事に挑戦していきたいと考えています。
すべてを走りながら考え、トライアルアンドエラーで前へ進んでいます。聞こえは良いかも知れませんが、周囲の方々に助けてもらい、泥臭く一歩一歩地味に進んでいます。